はじまり
車の整備記録のサイトやアプリは、世の中にすでにたくさんあります。どれも便利で、どれもリッチで、そしてだいたい、名前やメールアドレスを知りたがります。
一方で、個人情報が流出したというニュースは、今日も元気に流れてきます。
オイル交換の日を覚えておきたいだけなのに、なぜ住所まで預けなければならないのか。そう思ったのが始まりでした。
前提:データベースは漏れる
CarKeep は「データベースはいつか漏れる」という、だいぶ後ろ向きな前提から設計しています。
漏れるのを完全には止められないなら、漏れても困らないものだけを入れておけばいい。世間で「データの最小化」と呼ばれる考え方です。CarKeep は、これを少し行き過ぎるくらいまでやっています。
削ったもの
- 給油所の名前と場所。いつも行くスタンドが分かると、だいたいどの辺りで暮らしているかが分かってしまいます。なので持ちません。どこで入れたかは、あなたの記憶とレシートにお任せします。
- 給油の時刻。日付はともかく、「毎週火曜の 22 時に給油している」まで分かると、生活のリズムが見えてしまいます。なので日付だけです。あなたが朝型か夜型か、CarKeep は知りません。知らないように、わりと本気でがんばっています。
- メモ欄。自由に書ける欄があると、人は書きます。「〇〇さんに紹介された整備工場」とか。なのでなくしました。書けないものは、漏れようがありません。
運営者にも読めない
残した記録も、あなたの端末で暗号化してから送ります。鍵はあなたの Passkey からしか作れないので、運営者がデータベースをのぞいても、見えるのは意味の分からない文字列だけです。
自分のサービスのデータを、運営者が一文字も読めない。なかなか不思議な状態ですが、これが狙いです。
そのかわり
裏口は作っていません。Passkey をすべてなくすと、記録は運営者にも戻せません。「パスワードをお忘れの方はこちら」はありません。あるのは割り切りだけです。Passkey は 2 つ登録しておきましょう。
誰のために
正直に言うと、まず自分が使いたくて作りました。招待制なので、たくさんの人に使ってもらうつもりもありません。
それでも、運営者である自分にすら自分の給油記録が読めないようにし、漏れても誰の車なのか分からないようにしました。ここまでやる必要があったのかは、作った本人にもよく分かっていません。ただ、やらずにはいられませんでした。
むすび
オイル交換の日付を、ここまで厳重に守っている整備手帳は、たぶんほかにありません。
今日も CarKeep のデータベースには、名前のない、誰にも読めない整備記録が静かに並んでいます。それを眺めて満足するのが、運営者のささやかな楽しみです。読めないのに。
CarKeep 運営者